病院経営や医療政策について学習したことなどを発信します

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病院経営、再び厳しい環境に③

ところで、病院数が減って、医療費が増加する経営環境は病院経営にとって良いのか悪いのか。

単純計算すれば病院あたりの医療費が増えているのだから当然、病院あたりの医療費(病院にとっては医業収益あるいは診療収益)は増えているのだから良いに決まっている?

ただし、病院数が減った割に病床数は減っていないので、病院あたり収益ほど病床数あたり収益は増えてない。とはいえ、総額は増加し、病院で配分される全体のパイは増大している。毎年約1兆円、約3%ずつ増える医療費のもとで、なぜ病院経営は苦しいのか。

赤字病院の割合は、年度によって異なるがざくっとした言い方でいうと、病院の6~7割は赤字である。経営主体でいうと、自治体、公的、私的病院の順で赤字割合が多い。病院の収益(企業でいう売上)は大部分が診療報酬による収益である。

診療報酬は公定価格制度であり、診療行為は診療報酬によって価格設定されている。企業のように自ら価格設定、つまり値付けしなくてよいが、設定された価格以上の値段で患者さんに請求(診療報酬請求)することはできない。

診療報酬による価格が妥当かどうかは医療(サービス)提供側ではわからない。「わからない」というのは、価格設定のプロセスが厳密にはわからないというのと、原価を反映しているのか、実はよく「わからない」のである。

価格設定のプロセスは、診療報酬の中身を決める中医協(中央社会保険医療協議会。厚生労働大臣の諮問機関)などでの議論のプロセスと言う意味では、今は昔と比べて随分わかるようになったとは思う。しかし、ある診療行為の点数(1点10円)がなぜその点数になったのかのプロセスは相変わらず不明である。

さらに、原価を反映しているかどうかについては、製造業(モノづくり)などのような原価計算をして設定したかというと、そうではない。これもざくっとした言い方でいうと、原価から設定したのではなく、全体の改定率が決まって、その結果増減する医療費から設定されたものである。

つまり病院や診療所、あるいは調剤薬局などでの事業活動のコストが積みあがったものではなく、医療費(医療収益)がまずありきでコストがあとからついてくるのである。

この収益とコストの関係が、医療費が増加しながらも病院の赤字割合が比較的高いという構造的な原因の一つになっている。

ところで、製造業では原価計算して販売価格を決定していると言っても、単純にコスト(原価あるいは費用)を積み上げて、いくらかの利益を乗せて設定しているわけではない。販売価格を決定しているのは、コストの前にモノが売れる市場である。とはいえ最終的には原価計算している。

原価計算していない診療報酬。実際のところ得なのか損なのか。
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病院経営、再び厳しい環境に②

次に医療費についてみてみる。ところで、医療費という言葉に出くわした人は、医療費とは費用のことかと思う。病院(医療機関)から見ると医療費は費用ではなく収益である。会社でいうと自社の売上は、モノやサービスを購入した他社から見ると費用である。

病院にとって医療が費用(支出)と言われると何となく違和感があるのは、表裏の関係にあるものの「裏」ばかり強調されているような気がするからである。

では誰にとっての費用か。国(国民)である。医療費は、英語でHealth expendituresという。expenditures は、多少耳なじみのあるexpensesと似ているが、expendituresは特定目的の大規模な支出をいうようだ。

医療費の全体像も意外とわかりにくい。国民医療費であったり、社会保障給付費であったり、さらに国際比較もOECDのGDP比や対国民所得比もある。国の統計も、厚生労働省、財務省、国立社会保障・人口問題研究所などから出ている。どこの誰の集計がもとになっているのだろう。ちなみに国立社会保障・人口問題研究所が作成している「社会保障給付費」の統計は、今は「社会保障費用統計」というそうだ。

平成25年11月14日付厚労省ホームページの、2011(平成23)年度の国民医療費は38兆5,850億円、前年度の37兆4,202億円に比べ1兆1,648億円、3.1%の増加となっている。

平成25年12月6日付国立社会保障・人口問題研究所ホームページの2011(平成23)年度「社会保障費用統計」の社会保障給付費の「医療」は34兆634億円。「医療」の対前年度伸び率は3.5%である。

国民医療費>社会保障給付費の「医療」ということがわかる。その差の正体は不明であるが、社会保障給付費の方は国際基準(国際労働機関ILO)をもとに作られている。財務省の医療統計は社会保障給付費を採用している。厚労省も「年金」「福祉その他」を含めた長期統計は社会保障給付費を用いている。

社会保障制度改革国民会議ならびに関連する法令では、どうも社会保障給付費の医療費を用いているようだ。これは「年金」「福祉その他」と「医療」の3点セットで示す方がわかりやすいのと、国際比較に適しているからか。正確なところはわからない。

医療費適正化計画でいう医療費はどうも国民医療費のことのようだ。ところで医療費適正化計画自体を何となく忘れてしまった医療関係者はいないだろうか。厚労省のホームページで見ると「医療制度改革に関する情報」とあり医療制度改革関連のことなのだが。ちなみに医療費適正化計画は「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づくものだ。旧称は「老人保健法」である。

いずれにしても病院にとってマクロ統計は押さえておかなければならないが、あまり深みに入ると数字(値)の感覚がマヒしてくることに要注意。病院経営が扱う数字(値)は一桁から始まる。

この手のマクロ統計は、厚労省ホームページなどから資料入手がしやすくなったせいか、病院経営セミナーと称して、マクロ環境の説明と最新の改正法や診療報酬改定に触れてほぼ終わりというものが多いような気がする。それならば「病院経営環境セミナー」とすればよいのに。それともその先は自院で考えなさいというメッセージなのか。

病院経営、再び厳しい環境に①

2014(平成26年)度は、病院にとって厳しい経営環境になるのではないか。もっとも病院にとって厳しい環境でなかった時代はここ30年ほどなかったように思うが。つまり常に厳しいというわけだ。減少した病院数を見てみよう。
病院数がピークだった平成2年(10月1日現在)の10,096件に対して、直近の「医療施設動態調査(平成26年1月末概数)」によると8,529件。マイナス1,567件。約15%がなくなった。
病院病床数は、ピークは平成5年(10月1日現在)の1,680,952床、直近は1,573,329床でマイナス107,623床。約6.4%がなくなった。病院数の減少よりインパクトは実は低い。もしかすると病院経営は結構たくましい(しぶとい?)といえるのかもしれない。

2013年以降の病院経営はどうなる

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

さて、2013年以降の病院経営はどうなるのか。新政権の医療政策はどうなるのか。

この正月も5大新聞(朝日・読売・毎日・産経・日経)を斜め読みした。社説のテーマ(産経は社説ではない)は以下のとおり。

混迷の時代の年頭に「日本を考える」を考える(朝日)
政治の安定で国力を取り戻せ-成長戦略練り直しは原発から(読売)
骨太の互恵精神育てよ(読売)
長期安定政権で国難打破を(産経)
目標設定で「明るい明日」切り開こう(読売)

これらの社説を読んで思い知るのは、日本の国力低下。国力の構成要素は「経済力」「政治力」「軍事力」等々。戦後(68年も前)の国力の原動力は経済力だったように思う。経済大国とは言われたが、政治大国、軍事大国と呼ばれたことはなかった。

その経済力が衰えて久しい。20年前(1993年)の1人当たり名目GDPはOECD加盟国中2位だったそうだが、昨年2011年は何と14位。

病院経営最大のよりどころは医療政策を含めた社会保障制度。社会保障制度を支えるのはまさに国力である経済力。

6、7年前に聴いた島崎謙治さんの講演の一説。「社会保障ジャンボジェット機論」。重たい飛行機(社会保障)が空を飛ぶ(持続可能)ために必要な条件は、①推進力(経済成長)、②広大な翼(連帯感)、③優秀なパイロット(リーダーシップ)。

連帯感もリーダーシップも欠かせないが、先ずは経済力(経済成長)。

島崎さんはこうも言われていた。「医療に投入できる資源をどの程度投入するかは国民の選択と納得の問題」と。

我々国民は、新政権の社会保障政策にいろいろと要求する前に、経済力(国力)が低下した中で社会保障にどれだけの資源をかけることができるのかを考えるべきなのかもしれない。

総選挙で病院経営はどう変わるのか2013

明日になれば新しい政権のもとで新しい政治が始まる。と思う。有力政党の政権公約を見ると医療・介護関係については特別目新しいものはないようだ。いくつか大きく隔たる政策(後期高齢者医療制度を廃止するか、現行制度を維持するか)はあるが、今に始まった話ではない。

生活保護の医療扶助の給付水準を「見直す」「適切にする」はほぼ同じで、その方法論は電子レセプトのチェックや後発医薬品の使用促進・義務化も基本的には変わらないように見える。

つまり、社会保障国民会議にはじまる自公政権時代から民主党政権時代の社会保障政策の大きな流れは社会的な背景(人口減、超少子高齢化、税収の減少等)が変わらないので変わりようがないのである。

もちろん方法論は似てくる要素もあるが、多少なりとも変わってくる。医療費改定という意味で明確になる診療報酬改定は2014年なので、2013年はしっかりと情報収集・分析・対応策が必要だ。

昨年の今頃は、今春の改定率に一喜一憂していたが、大昔のような気もする。時計は前に進んでも後ろに戻ることはない。病院経営も歴史は大切だが、変えることができるのは未来だけである。

話題は変わるが、今週は、看護協会主催の「看護職の負担軽減と働きがい」をテーマにした研修会で取組み事例をの発表する予定。年が明けると某コンサル会社主催の「病院の人事制度改革」をテーマにしたセミナーでこれまた取組み事例を発表する。

今年は組織能力をいかに高めるかということをいろいろと考え勉強した。そこで発見したのは、組織の構成員である人と、人と人、人の周囲の環境・仕組というものがやはりあらためて大切だと再認識できた年だった。

ということで今日は早い目に選挙へ行ってこようと思う。
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Author:paideia
病院経営の向上を目指して日々悩んだり・考えたり・愉しんでいます。認定登録医業経営コンサルタント

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